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平成24年度厚生労働科学研究費補助金 がん臨床研究事業 採択のお知らせ

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ご案内

平成24年度厚生労働科学研究費補助金 がん臨床研究事業 採択のお知らせ

2012年8月

会員各位

一般社団法人日本消化器外科学会
データベース委員会

平成24年度厚生労働科学研究費補助金 がん臨床研究事業 採択のお知らせ

 

研究課題 :
精度の高い臓器がん登録による診療ガイドラインや専門医育成への活用に関する研究

交付基準額:
18,000,000円(うち間接経費 4,153,000円)

研 究 者:
後藤 満一,森 正樹,杉原 健一,宮田 裕章,平田 公一,梛野 正人,今野 弘之,祖父江 友孝,藤 也寸志,梨本 篤,固武 健二郎,國土 典宏,山本 雅一,田中 雅夫,佐藤 雅美,徳田 裕

 

 我が国では,これまで消化器がん外科手術症例の成績を全国規模で調査した報告が存在しませんでした.そこで,本学会では日本全国の消化器外科手術の現状を把握すべく,2006年から全国2,000以上の施設を対象に基本的な統計的調査(消化器外科手術調査)を行ってきました.また,同調査の結果をもとに,医療の質のさらなる向上を目的とし,合併症などのリスクを考慮した,より詳細に現状を評価できるような指標(risk-adjusted surgical outcome; RASO)を開発することになりました.この開発につきましては,国際比較も勘案し,日本心臓血管外科手術データベース機構(Japan Cardiovascular Surgery Database Organization; JCVSD)や米国外科学会の取り組み(The American College of Surgeons National Surgical Quality Improvement Program; (ACS NSQIP® )などの先行研究を参考にさせていただきました.

 2011年までに,データベース事業のそれぞれの関係機関,及び平成21~23年度厚生労働科学研究費補助金 がん臨床研究事業である「消化器がん外科診療の質を評価する指標の開発とがん医療の均てん化の推進」の研究において,我々のRASOを指標として活用すべくデータベースの構築を検討し,外科系の臨床学会が専門医制度と連携して設立したNational Clinical Database(NCD) 外部サイトへリンクのシステムに実装しました.

 NCDは,2012年8月現在,全国3,500以上の参加施設,5,000以上の診療科のネットワークにより構成され,消化器外科医療水準評価項目などに加え,すでに非手術症例も登録可能な乳癌登録,膵癌登録も実施されており,国内外に例がないほど大規模な専門医制度と連携したデータベースに成長しています.

「精度の高い臓器がん登録による診療ガイドラインや専門医育成への活用に関する研究」では,良質な医療に基づいた指標を提供すべく,精度の高い臓器がん登録を領域別に実施し,がん診療における医療水準評価の基本枠組みを構築する必要があります.勘案事項は以下のような点でした.

  • 学会単位のデータベースではなく,NCDという複数の専門医制度とも連携した第三者機関のデータベースを活用する.
  • 臓器がん登録について継続的に臨床実態に基づいた項目設計を行い,基本項目(すべての施設が入力すべき事項)と詳細項目(限られた教育施設等)に区分して構成するなどして,全国の診療科が無理なく参加できることを目指す.
  • 地域がん登録との連携の中で,費用対効果の高い仕組みを構築する.

 研究体制としては,臓器別のがん登録(食道,胃,大腸,肝,胆,膵,肺,乳腺),地域がん登録,専門医制度(外科専門医,消化器外科専門医),診療ガイドライン,データ分析といった分野から,それぞれ専門の先生,または造詣が深い先生にご参加いただきました.関連学会の理事長,データベース委員長,専門医制度委員長の参加により,専門領域の方針と連動した継続的な見通しの中で検討が行われ,データ収集・分析の専門業についてはNCDの専門委員を加えることにより,臨床現場に必要とされる研究連携を迅速に行うことが可能となります.また,既存の厚生労働科学研究の枠組みの中で,診療ガイドラインや地域がん登録の主任研究者を分担研究者として迎えることで,本研究が主眼とするテーマについて,円滑な連携を行うことが可能になると考えられます.

 All Japanの本研究を通して,実証データを真に有効活用し,臨床現場において医療水準評価を継続的に行うことが可能な入力体制を構築する,実証データ分析に基づいて診療ガイドラインの内容を定期的に検証する,医師の教育プログラムを継続的に改善する──といったことを実現するための枠組みを検討していきます.目指す先は,将来的にこの枠組みが,総合的に最善の医療を提供するための有用な仕組みの一つとして,継続的に活用されることです.また,この活動によって,領域全体としての治療成績の向上を患者・市民の方々に示し,安心・納得して医療を受けられる環境整備や,「がん死亡率の減少」というがん対策基本計画の目標達成に寄与できることを期待します.

 この研究の進捗状況は学術集会等で随時報告していきますが,皆さまの温かいご支援,ご協力を,今後もどうぞよろしくお願い申し上げます.


 


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