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学会発表・論文投稿における倫理指針について
学会発表・論文投稿における倫理指針(カテゴリー分類)
よくある質問と答え(FAQ)
Q1:当院には倫理審査会がありません.学会発表はできませんか?
A:観察研究の倫理審査を行う倫理審査委員会やそれに準じた諮問委員会を常設していない施設からの本学会への研究発表や論文投稿については,できるだけ抄録登録時や投稿時に,関連の大学病院や医師会での倫理審査を受けてください.
Q2:所属施設長とは外科部長の認可でよいですか?
A:大学病院などの研究機関であれば,病院長,センター長,学科長,学類長などであり,その他の医療施設であれば,センター長,施設長,理事長,組合長,病院長などに該当するため所属部長の認可では無効となります.
Q3:8例以下をまとめた介入を伴わない症例報告は倫理委員会審査必要ですか?
A:10例以上をまとめた介入を伴わない症例報告から倫理委員会審査が必要です.
Q4:自施設の胃癌における開腹手術と腹腔鏡手術の短期および長期成績を学会発表したい場合には倫理審査会は必要ですか?
A:研究対象者の予後を含んだ各種臨床データを利用した研究は,各施設の倫理審査委員会や治験審査委員会(IRB),あるいはそれに準じた諮問委員会での迅速審査(簡易審査)と,それに基づく施設長の許可を得るとともに,研究対象者あるいはその代諾者の承諾(IC)を得ておくことが理想的です.ただし,過去の症例にさかのぼってあらためて承諾(IC)を得ることが実質的に不可能な場合は,個人情報の保護規定遵守のもと,オプトアウトを利用することで,あらためて患者の承諾を得る必要はありません.
Q5:関連施設10病院の胃癌における開腹手術と腹腔鏡手術の短期および長期成績をまとめた学会発表をしたい場合には倫理審査会は必要ですか?
A:上記と同様.研究に参加する全ての施設の倫理審査委員会あるいはそれに準じた諮問委員会での審査と,それに基づく施設長の許可が必要です.さらに研究対象者あるいはその代諾者の承諾(IC)を得ておくことが理想的です.ただし,過去の症例にさかのぼってあらためて承諾(IC)を得ることが実質的に不可能な場合は,個人情報の保護規定遵守のもと,オプトアウトを利用することで,あらためて研究対象者や代諾者の承諾を得る必要はありません.一方,連結可能匿名化データを提供するのみの共同研究施設では,必ずしも倫理審査委員会の審査を受ける必要はなく,その施設長の許可のもと,代表施設の倫理審査委員会での一括審査も可能です.
Q6:大腸癌再発症例における現在未承認薬の抗PDL-1抗体薬を使用した症例をまとめて報告したいのですが倫理審査会の承認は必要ですか?
A:薬剤の適応外使用や未承認薬を使用する場合には1-3のすべてが必要です.
1.倫理審査委員会や治験審査委員会(IRB),あるいはそれに準じた諮問委員会の審査に基づく 施設長の許可.
2.患者もしくは代諾者の承諾.
3.介入研究であれば公開データベースへ登録.
Q7:胃癌手術におけるダビンチ手術の短期および長期成績をまとめて報告したいのですが,倫理委員審査会の審査と承諾は必要ですか?
A:先進医療の場合は1-3のすべてが必要です.
1.倫理審査委員会や治験審査委員会(IRB),あるいはそれに準じた諮問委員会の審査に基づく施設長の許可.
2.患者もしくは代諾者の承諾.
3.介入研究であれば公開データベースへ登録.
Q8:手術手技に関するビデオの発表をしたいのですが,同意は必要ですか?
A:個人を特定しないものであれば,一般同意を得たもので代用できます.一般同意とは診療情報や診療の一環として採取された検体(試料)を,将来にわたってさまざまな研究に利用させていただくことを書面で承諾同意いただくものを指します.
Q9:患者の試写体(顔写真)などを発表で使用したいのですが,事後で同意を得る必要がありますか?
A:症例報告を含む医学論文及び学会研究会発表における患者プライバシー保護に関する指針を遵守し,プライバシー保護に配慮して患者が特定されないように留意する必要があります.倫理審査委員会やそれに準じた諮問委員会での審査や施設長の許可,患者(研究対象者)やその代諾者の承諾は不要です.
Q10:続報のような発表に関しては,再度治験審査委員会(IRB)は受ける必要性がありますか?
A:観察研究においては研究期間の明示されている期間内は新たに治験審査委員会(IRB)審査を受ける必要はありません.
Q11:患者の大腸癌組織を使用し,今後明らかにされる癌関連遺伝子群の発現を検証した発表を行いたいのですが,倫理委員会審査は必要ですか?
A: 倫理審査委員会や治験審査委員会 (IRB) ,あるいはそれに準じた諮問委員会の迅速審査に基づく施設長の許可が必要です.また一般同意とオプトアウトの利用も必要になります.
Q12:一般同意とはこの場合にどんな同意を指しますか?
A:診療情報や診療の一環として採取された検体(試料)を,将来にわたってさまざまな研究に利用させていただくことを書面で承諾同意いただくものを指します.
Q13:オプトアウトとはどんなものを指しますか?
A:当該研究について情報を研究対象者等に直接通知するか,または当該施設の掲示板やホームページ上で公開し,研究対象者等が研究への参加を拒否する機会を保証するものを指します.同時に拒否の意思表示を受け付ける窓口(連絡先)を明示する必要があります.
Q14:公開されているデータベース,ガイドラインなどをまとめた研究発表,あるいは法令に基づく研究発表は倫理審査を受ける必要がありますか?
A:倫理審査委員会の審査および承諾は不要です.しかし引用したデータベースおよびガイドラインなどを必ず明記してください.
Q15:ヒトの検体を使用した後ろ向きの研究発表に関しては,同意書はすべての患者に必要ですか?
A:個人を特定しないものであれば,一般同意を得たもので代用できます.一般同意とは診療情報や診療の一環として採取された検体(試料)を,将来にわたってさまざまな研究に利用させていただくことを書面で承諾同意いただくものです.
Q16:培養細胞を用いた基礎的研究は倫理審査会必要ですか?
A:倫理審査委員会の審査および承諾は不要です.
Q17:ヒト ES 細胞,ヒト iPS 細胞,ヒト組織幹細胞を利用した臨床研究は治験審査委員会(IRB)以外に何が必要ですか?
A:倫理審査委員会の施設長の許可以外に患者もしくは代諾者の承諾と厚生労働大臣の許可が必要になります.
Q18:ヒトゲノム・遺伝子解析研究に関する倫理指針の対象となる研究とはどのようなものを指しますか?
A:ヒトゲノム・遺伝子解析研究に関する倫理指針の対象は,提供者の白血球等の組織から抽出したゲノムDNAやmRNAから作成した相補DNAを用いて,子孫に受け継がれる遺伝子変異や多型性を調べる研究です.即ち,生殖細胞系列の変異又やその多型性 (germline mutation or polymorphism) を解析する研究を指します.
Q19:倫理委員会を通さず発表した場合には、どんなペナルティーが科せられますか?
A:現時点では,学会としてペナルティーを科すことは考えておりませんし,サイトビジットなどで過去に遡って審査することも致しません.学会員が常に倫理指針に則って真摯に行動することを目的としております.
Q20:発表する際には、治験審査委員会(IRB)の開示はするのですか?COIのようなスライドを作成するのでしょうか?
A:現時点では,Medical ethics を開示するスライドをご提示いただく予定はありません.ただし,自身の発表が倫理指針のどのカテゴリーに属する研究であるのかを,常に判断していただくことを期待しております.
Q21:オプトアウトの開示はいつまで行う必要性がありますか?
A:研究開始後,速やかに開示し,研究を終了するか,もしくは発表・投稿完了後まで提示していただく必要があります.
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